ブーフーとブールのあいだ

between boohoo and Boole

カート・ヴォネガット入門/生誕100年を迎えて

#1ヶ月書くチャレンジ 14日目は#これまでに夢中になったモノやコトです。



私はカート・ヴォネガットの小説に夢中になってました。今でも夢中です。

 

というわけで今日は、カート・ヴォネガットについて書いていきます。

この記事を読んで、カート・ヴォネガットという小説家を知っていただければうれしいです。また記事の最後では、どの小説から読めばよいかについて私のおすすめを書いていますのでどうぞ最後までご覧くださいませ。

 

目次

 

 

カート・ヴォネガットって誰?

 

ちょうど100年前に生まれたアメリカの小説家です。

100年前のアメリカは、第一次世界大戦が終わって繁栄の20年代謳歌していた時代でした。その後、世界大恐慌、そして第二次世界大戦と歴史が続いていく、そんな時代にヴォネガットは生まれ、育ちました。

 

ヴォネガットが小説家としてデビューしたのは1950年でしたが、世の中に名が知れ渡るようになったのは1960年代以降です。

 

代表作としてよく挙げられる作品は、「タイタンの妖女」(1959年)、「スローターハウス5」(1969年)の2作品です。

 

 

タイタンの妖女」は、主人公が地球から火星、そして水星、再び地球に戻り、最後は土星の衛星タイタンに行くという奇天烈なストーリー展開のなかで自由意志とは何かを問いかける、それでいて滑稽さあり感動ありの作品です。

 

爆笑問題が所属する事務所「タイタン」は、この「タイタンの妖女」から来ていることはよく知られています。太田光さんがヴォネガットの大ファンであり、2009年版の文庫本には太田光さんが解説を書かれています。

 

 

スローターハウス5」は、第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜となり、収容されたドレスデンの地で、味方である連合国軍による無差別爆撃をうけた筆者自身の経験を元に綴られた小説です。「タイタンの妖女」と同じような奇天烈であり、どこか滑稽なストーリーの中で、運命とは何かについても考えさせられる小説です。



 

日本での広がり

 

日本でもヴォネガットの作品は浅倉久志さん、伊藤典夫さんらによって翻訳され早川文庫(SF)で出版されています。カバーイラストは和田誠さん。ヴォネガットの文庫本と言えば和田誠さんのカバーイラストっていうぐらい最高のイラストです。

 

村上春樹さんのデビュー作「風の歌を聴け」はヴォネガットの影響を受けたと言われています。

 

爆笑問題の所属事務所の名前の由来については先述の通りです。

 

最近では、鈍器本という異名を持つ読書猿さんの「独学大全」の最初のページは、カート・ヴォネガットの「チャンピオンたちの朝食」からの引用で始まっています。

私が「独学大全」を購入した理由はまさにこれ。「チャンピオンたちの朝食」からの引用で始まっていたからです。

 




どんな作品がありますか。

 

ここでは長編タイトルだけを紹介します。

長編タイトルは全部で14作品あります。すべて日本語に翻訳され早川書房からでています。

(短編小説はここでは割愛いたします、またの機会に紹介したいです)



  • 「プレイヤー・ピアノ」(Player Piano 1952年)
  • タイタンの妖女」(The Sirens of Titan 1959年)
  • 「母なる夜」(Mother Night 1961年)』)
  • 「猫のゆりかご」(Cat's Cradle 1963年)
  • 「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」(God Bless You, Mr. Rosewater, or Pearls Before Swine 1965年)
  • スローターハウス5」(Slaughterhouse-Five, or The Children's Crusade: A Duty-Dance With Death 1969年)
  • 「チャンピオンたちの朝食」(Breakfast of Champions, or Goodbye, Blue Monday 1973年)
  • スラップスティック」(Slapstick, or Lonesome No More 1976年)
  • 「ジェイルバード」(Jailbird 1979年)
  • 「デッドアイディック」(Deadeye Dick 1982年)
  • ガラパゴスの箱舟」(Galápagos 1985年)
  • 「青ひげ」(Bluebeard 1987年)
  • 「ホーカス・ポーカス」(Hocus Pocus 1990年)
  • 「タイムクエイク」(Timequake 1997年)

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    我が家のヴォネガットコーナー、どの本も何度も読み返してボロボロです。


 

何から読んだらよいですか?

 

タイタンの妖女」あるいは「スローターハウス5」から入るのが私のおすすめです。

ちなみに、私は「スローターハウス5」からヴォネガットに入りました。

 

その後に「母なる夜」、「猫のゆりかご」、「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」、「チャンピオンたちの朝食」を読んでいくとよいでしょう。

 

長編第1作目である「プレイヤー・ピアノ」は、ストーリー展開にポップさがなくとっつきにくい作品です。もし最初にこの小説を読んでしまうと、もしかしたらヴォネガットはつまんないって思ってしまうかもしれません。

「プレイヤー・ピアノ」は、上記で紹介しました主要作品を一通り読んだ後がよろしいかと思います。

 

スラップスティック」以降の作品は、発表順に読んでいただいて十分に楽しめる作品たちです。後期作品の中では、「ジェイルバード」、「デッドアイディック」の2作品が私の大好きな作品です。





私のヴォネガット

 

時代や運命に翻弄されながらも、各作品の主人公たちが必死に生きていく姿に現れるどこか滑稽さやユーモアが私たちを楽しませてくれる。そのまさに主人公たちが生きている時代や運命を作り出したのは他ならぬわれわれ人間の愚かさであると言いたげであるが、決して人間を嫌っているわけでは無く、むしろそんな人間たちを大いに愛して止まない、ヒューマニストであるというのが私のヴォネガット評です。

 

こんな世界でも生きていこうと思わせてくれるのが私にとってのヴォネガットの小説です。




いかがでしょうか。

私のヴォネガット愛を炸裂させた記事を書いてみました。この記事きっかけでヴォネガット読んで見ようと思われる方がいらっしゃればうれしいです。

 

過去に(8年前に!)書いたヴォネガットに関する記事の中でもおすすめの記事を最後に紹介いたします。こちらも併せてご覧いただけますとうれしいです。

 

boohoo-boole.hatenablog.jp

 

おわり。