きみがもしヒューマニストになりたければ、まずはこの小説を読んだら良い。
「その秘密は、あの人たちが人間だということですわ」
- エリオット・ローズウォーターの妻シルヴィア
ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫 SF 464)
- 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1982/02
- メディア: 文庫
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1965年発表、ヴォネガット5作目の長編小説
10年後、自分の仕事は果たしてあるのだろうかって考えてみたことありますか?そんなことを考えるにつけ、ヴォネガットが小説のなかで示唆している、一部の資産家と仕事を機械にとって代わられた多くの手持ち無沙汰の人々という二極化は決して誇張ではないと思えるわけです。そう、10年後、もしかしたら自分の仕事がもはやなくなっているかもしれません。そんなときエリオット・ローズウォーターの愛を感じられたらどんなに救われるだろうか。きっとまた頑張れるにちがいない。
きみがもしヒューマニストになりたければ、まずはこの小説を読んだら良い。
さあ、登場人物たちをここに紹介する。
インディアナ州のローズウォーター家
ーローズウォーター財団総裁の地位を継ぐ本家
エリオット・ローズウォーター
- この物語の主人公
- ローズウォーター財団初代総裁
- 1918年ワシントンDC生まれ
リスター・エイムズ・ローズウォーター
- エリオットの父
- ローズウォーター財団の創設者、インディアナ州選出の上院議員
ユーニス・モーガン・ローズウォーター
- エリオットの母
- エリオット19歳のとき、ヨット乗船時のアクシデントで亡くなる。
シルヴィア・デュヴレーズ・ゼッタリング
- エリオットの妻
- パリ生まれ
- 神経衰弱に罹って、消防本部の建物に放火する
サミュエル・ローズウォーター
- エリオットの祖父
ノア・ローズウォーター
- エリオットの曽祖父
- インディアナ州に住むローズウォーター家の本家の始祖
ロードアイランド州のローズウォーター家
ーロードアイランド州ビスコンテュイットに住んでいる一族の唯一の分家
フレッド・ローズウォーター
- エリオットのまたいとこ
- 保険屋、ときたま得られるわずかな歩合給を家に入れるためにせっせと働く
- 腕ききのヨット乗りでもある
- プリンストン大学にも通ったことがある
- 彼は自分に四万二千ドルの保険金をかけている
- 保険が好きで人助けが好き
キャロライン・ローズウォーター
- フレッドの妻
- きれいだがやつれた感じの、痩せておどおどした小柄な女性
- 着飾っている上物のドレスは、すべて金持ちのレズビアンの友人アマニータのおさがり
- 主婦としての彼女は、まるで落第だった。家事をしながらよく泣いた。
フランクリン・ローズウォーター
- フレッドとキャロラインのあまりかわいげのない肥った息子
メリヒュー・ローズウォーター
- フレッドの父、大恐慌ですべてを失い自殺
エブラハム・ローズウォーター
- メリヒューの父でありフレッドの祖父、牧師
ジョージ・ローズウォーター
- ノアの弟、ロードアイランド州に住むローズウォーター家の分家の始祖
マッカリスター・ロブジェント・リード・アンド・マッギー法律事務所
サーモンド・マッカリスター
- マッカリスター・ロブジェント・リード・アンド・マッギー法律事務所の4人の経営者のうちの1人
- 76歳、4人の経営者のなかで一番年上
- ローズウォーター財団顧問
- ノーマン・ムシャリのボス
ノーマン・ムシャリ
- マッカリスター・ロブジェント・リード・アンド・マッギー法律事務所所属弁護士
- 事務所の中では最年少
- コーネル・ロー・スクールを首席で卒業
- レバノン系、ブルックリンの敷物商人の息子
- 身長1メートル60センチ、偉大な出っ尻
- 財団の支配権をエリオットのまたいとこにあたるロードアイランド州ビスコンテュイットのフレッド・ローズウォーターに移転させようというのが彼の夢である。
ローズウォーター郡の人びと
チャーリー・ウォーマーグラン
- 保険代理店を経営
- ローズウォーター郡の中でも、ほんとうに自由企業のもとでうまく成功している七人ほどの人間の中のひとり
- エリオットより十歳年下で、百九十二センチの大男。
- 消防団長、連邦執行官、度量衡検査官
- ベラと共同で<ラ・ブティック・ド・パリ>という金持相手の服食品店を出している。
- 淋病持ち
ダイアナ・ムーン・グランパーズ
- 68歳の老処女
- エリオットの黒電話にかけてくる依頼人
- 彼女の父母は1916年のローズウォーター製材所のピクニックで、落雷にうたれて死んだ。
- 自分も雷に殺されるにちがいない、と信じていた。雷がなるとこわくてローズウォーター財団に電話をする
ステラ・ウェイクビー
- 眠れずに、ローズウォーター財団に電話をした女性
メアリ・ムーディ
- 双子を生み、フォックスクロフトとメロディーと名づける
デルバート・ピーチ
- 町名物の酔っ払い、犬たちのお気に入りの男
ノイズ・フィナティー
- チャーリイ・ウオーマーグランの保険代理店の掃除夫
- 1933年無敗記録を打ち立てた当時の、不滅のノア・ローズウォーター記念ハイスクール・バスケットボール・チームの一員
- 1934年悪名高い不貞を働いた16才の妻を絞め殺し、無期懲役を宣告されたがエリオットのおかげで仮釈放の身であった。
- エリオットのただならぬ様子にいち早く気づいたのも彼だった。
リンカーン・ユーアルド
- 売店主
- 第二次大戦中にはナチの同調者
ローランド・バリー
- 陸軍に入隊して10分後に神経衰弱におちいった。原因はほかの百人の新兵といっしょにシャワーを浴びろと命令されたことにある。廃疾年金を受給。
- 一日の大半をガソリンスタンドのポンプのそばで過ごす。
トーニー・ウェインライト
14歳のニンフェット、継父の子をはらんでいる。その継父は刑務所。財団が医療費や弁護士の手配をしてやった。
ロードアイランド州ビスコンテュイットに住む人々
アマニータ・バントライン
ライラ・バントライン
- アマニータの娘。
- 馬面で、ごつごつした体つきの背高のっぽ。完璧に美しい緑の瞳の下におおきなくまがある。
- 腕ききの船乗り
- ニュースストアの回転式陳列棚に並ぶエンガチョな本を買占め友だちに売っている。
ハリー・ビーナ
- 漁夫、ビスコンテュイット有志消防団団長
- 以前はマサチューセッツ州ピッツフィールドで保険屋をやっていた
- ある晩、自分の居間のカーペットを四塩化炭素で洗い、もう少しで死にかけたことがある。そんなこともあり医者から空気のいいところで働くよういわれて漁師になった
スチュアート・バントライン
- アマニータの夫、ライラの父
- 自分の書斎でほとんど寝ている。ライラが一日一回生きているか見に行く。
- 南北戦争にはまっている
- 彼に遺された遺産は1400万ドル。
- マッカリスター・ロブジェント・リード・アンド・マッギー法律事務所が遺産管理をしている
バニー・ウイークス
- ニュー・ベッドフォード生まれの背の高いホモセクシャル
- レストラン<ザ・ウイア>のオーナー
- 鯨とりの銛の世界最大の個人コレクター
セリーナ・ディール
- バントライン夫妻の雇っている若いメイド
- 18歳のみなしご、ピアノがうまく看護婦になりたいと思っている
ランス・ラムファード
- 有名なラムファード邸のあるじ
ほかにもまだまだ出てきます、あの人も!
レナード・リーチ教授
- ノーマン・ムシャリの学生時代にいちばん好きだった教授
- 法律の世界で成功する方法について
エド・ブラウン博士
アーサー・ガーヴェイ・アルム
- まだローズウォーター財団がニューヨークに置かれていた時期に、エリオットから一万ドルを贈られた詩人
- 『マンドレークの根よ、子をはらめ』の作者
- スタンプの景品交換所で働くSF作家
- 作品『2BRO2B』
登場人物たちを振り返って
あわれな保険屋フレッド・ローズウォーターが自分自身とダブって見えます(笑)
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