ブーフーとブールのあいだ

between boohoo and Boole

「チャンピョンたちの朝食」の登場人物たち

 

「テイク・ア・リーク」(鏡を盗みにいく)

 

 

1972年の秋、

アメリカ中西部ミッドランド・シティでは、その地で開かれるアートフェスティバルでキルゴア・トラウトとドウェイン・フーバーの2人が出会う、「チャンピョンたちの朝食」はそんな物語です。

 

チャンピオンたちの朝食 (ハヤカワ文庫SF)
 

 私は最初に買った文庫本が何度も何度も読み返してページが外れてしまいバラバラになったので、もう一冊買いました、というぐらい何度も読み返しているヴォネガット作品の一つです。

ただ残念ながらハヤカワ文庫「チャンピョンたちの朝食」、これ絶版中です。手にしたい方は、アマゾンマーケットプレイス出品者からの購入か、Kindle版で購入が可能です。

 

 「チャンピョンたちの朝食」についての読後感はこちらの記事をご覧くださいませ。こんなところが読みごたえあり5つ、なんかも書いたりしてます。

ヴォネガットの小説を楽しむためには欠かせない一冊 / 「チャンピョンたちの朝食」 - ブーフーとブールーのあいだ

 

ここでは「チャンピョンたちの朝食」にでてくる登場人物をまとめてみました。どれもみな愛くるしい登場人物ばかりです。読書の参考になれば幸いです。あるいは、先に登場人物たちだけを眺めてどんな物語なのかを想像するのも楽しいかもしれませんね。

 

まずはこの2人について

 

キルゴア・トラウト

バミューダ生まれ 1907-1981

SF 作家(117冊の長編と2000もの短編を書いていた)

網戸雨戸両用アルミサッシ窓の取り付け工(この仕事で生計を立てている)

ニューヨーク州コホーズ、地下室のアパートに住み、インコを飼っている

結婚3回

レオという子どもが一人いるが彼が14歳のときに家出

鏡のことをリーク(漏れ穴)と呼ぶ癖がある

アメリカ中西部ミッドランド・シティで開かれるアート・フェスティバルで講演者として招待される。

ちなみにそのシンポジウムのテーマは、<マクルーハン時代におけるアメリカ小説の未来>

彼はミッドランド・シティに行くことに決めた。その道中やいかに。そしてミッドランド・シティで待ち構えているものは何か?

1979年ノーベル医学賞を受賞する

 

ドウェイン・フーバー

自動車ポンティアックの販売業者。当時彼は発狂の一歩手前という状況にあった。

妻のシリアはドレイノを飲んで自殺、現在は市の最高級住宅地フェアチャイルド・ハイツにある夢の家で一人暮らし

飼い犬、ラブラドール・レトリバー犬スパーキー

孤児院で人生の最初の3年間を過ごし、養子に引き取られた。

「べらぼうに羽振りがよい」ドウェインがもっているもの

  • ポンティアック代理店
  • ホリデイ・インの一部
  • バーガー・シェフ3軒
  • コイン式自動洗車場5つ
  • シュガー・クリーク・ドライブイン・シアターの一部
  • WMCYラジオ局の一部
  • スリーメイプルズ・パー3ゴルフ場の一部
  • バリートロン株式会社普通株式1700株
  • 何十もの空地
  • ミッドランド郡ナショナル銀行重役

 

 キルゴア・トラウトの回りの人々 

 

レオ・トラウト

キルゴア・トラウトの父

王立鳥類学会のためにバミューダオジロワシの世界唯一の生息地を守る仕事に従事

 

ダーリング・ヒース

コクニーなまりの赤毛のこびと

靴修理店で働く

トラウトがコホーズで名指しで呼びかける唯一の人間

 

ビラミッド運送会社 のトラック運転手

7万8千ポンドのスペイン産オリーブをオクラホマ州タルサへ運ぶ途中、リンカーン・トンネルの入口でキルゴア・トラウトを乗せる。

 

アンディ・リーバー

巡回セールスマン、

彼の扱う商品は、荷捌き場でトラックの後端を包み込む考案物、針金やケーブルやロープを巻きつける大型スプール、消火器など。

フォード・ギャラクシーの運転中、ヒッチハイクで移動中のキルゴア・トラウトを乗せる。

 

エリオット・ローズウォーター

エキセントリックな百万長者、キルゴア・トラウトの唯一のファン

キルゴア・トラウトの正体と居場所をつきとめるために私立探偵を雇う。ちなみにこの調査には1万8千ドルの費用がかかった。

キルゴア・トラウトが1972年以前に唯一受け取ったファンレターを送ったのももちろん彼である。

トラウトを英語圏で最高の現代作家と評価し、フェスティバルの講演者として招待するようフレッド・T・ バリーに約束させたのもまた彼である。

 

 

 ドウェイン・フーバーの周辺の人々

 

フランシーン・ペフコ

ドウェインの主要事業所<ドウェイン・フーヴァーの第十一出口ポンティアック・ビレッジ>で働くドウェインの秘書。

ドウェインの愛人でもある

ちなみに夫のロバート・ペフコはヴェトナム戦争で亡くなった

 

ハリー・ルセイバー

ドウェインのポンティアック代理店販売部長

ドウェインとのつきあいは20年、ほかのだれよりもドウェインのことをよく知っていた。

週末になると女装をして楽しむ隠れた趣味を持つが、あるときひどくみじめな週末を過ごすことになる。

妻はグレース。

 

ヴァーノン・ガー

ポンティアック代理店の整備工

彼の妻メアリーは分裂病患者。妻のことでドウェイン・フーバーに相談によくのってもらっていた。

 

グロリア・ブラウニング

<ドウェイン・フーバーの第十一出口ポンティアック・ビレッジ>の出納係

 

ロティ・デイヴィス

ドウェインの黒人メイド

 

ライルとカイル・フーバー

双子の兄弟、

ドウェインの義弟

観光名所<聖なる奇跡の洞窟>をドウェインと共同経過

 

アルフレッド・マリティーモ博士

ミッドランド・シティの一流歯科矯正医

ホリデイ・インの共同経営者

 

ビル・ミラー

シェパーズタウン成人矯正施設の仮釈放委員長

ホリデイ・インの共同経営者

 

ジョージ・フーバー

"バニー"と呼ばれるホモセクシャルなドウェインのひとり息子。

彼は、新しいホリデイ・インのカクテル・ラウンジでピアノを弾いている。

 

 

 ミッドランドシティの人々、そしてホリデイ・インのカクテル・ラウンジ

 

フレッド・T・バリー

バリートロン株式会社取締役会長

アート・フェスティバル委員長

ミルドレッド・バリー記念芸術センターの寄贈者

そして、ミッドランド・シティいちばんの大金持ち

トラウトと同い年

 

ミルドレッド・バリー

フレッド・T ・バリーの亡き母

 

メアリー・アリス

二百メートル女子平泳ぎ世界チャンピオン

ミッドランド・シティただひとりの国際的有名人、アート・フェスティバルのプログラムの表紙を飾る

父親はドン・ミラー

 

メアリー・ヤング

108歳、ミッドランド最高齢。黒人。

肺炎で死にかけている

 

シプリアン・ウクエンデ

ナイジェリア人、郡立病院のインターン

 

ウェイン・フーブラー

シェパーズタウン成人矯正施設から仮釈放になった若い黒人

ドウェイン・フーバーの下で働くのが唯一の夢

中古車展示場で展示車をピカピカに磨き、自分がいかに勤勉な働き者であるかをアピールする。

 

パティ・キーン

17歳の白人の娘

バーガー・シェフの給仕

父親がガンに罹患、その治療費のために働く

 

ドン・ブリードラブ

白人のガス・バーナー取り付け工

 

ボニー・マクマオン

カクテル・ラウンジのウェートレス

馬面をした42歳

彼女の夫は成人矯正施設の性犯罪者収容所棟の看守、

彼が全財産をシェパーズタウンの洗車場に投資して、元も子もなくしてしまったために妻は働きに出ている。

どのお客にも給仕するときに「チャンピオンたちの朝食」と冗談を添える。

彼女の人生の目的は二つ。夫がシェパーズタウンの洗車場につぎこんでなくした金をそっくり取り戻すこと。自分の車の前輪をスチール・ラジアルコード・タイヤに代えること。

 

ハロルド・ニューカム・ウィルバー

カクテル・ラウンジのバーテンダー

ミッドランド・シティで二番目にたくさん勲章をもらった復員軍人

 

エルドン・ロビンズ

ホリデイ・インの調理場の皿洗い係

成人矯正施設で刑期をつとめたことがある。

 

マイロ・マリティーモ

ホリデイ・インの若い美貌のフロント係

コーネル・ホテル・スクールの卒業生

悪名高いシカゴのギャング、アル・カポネの用心棒をしていたギレルモ"リトル・ウィリー"マリティーモの孫、ホモセクシャル

マリティーモ兄弟建設会社の共同経営者は彼の叔父、

マイロの親のいとこジーノ・マリティーモはこの町の麻薬王

ミッドランド・シティでキルゴア・トラウトについてなにかを知っている唯一の人物

 

ビアトリス・キーズラー

ゴシック小説家、アート・フェスティバルの来賓

 

ラボー・カラベキアン

ミニマル・アートの画家、アート・フェスティバルの来賓

代表作「聖アントニーの誘惑」

ミルドレッド・バリー記念芸術センターの常設コレクションのために購入された最初の美術品。フレッド・T・ バリーはこの絵を5万ドルで購入する。

 

エイブ・コーエン

ホリデイ・インのカクテル・ラウンジの客の一人。宝石商。

 

ネッド・リンガモン

ミッドランド・シティでいちばんたくさん勲章をもらった復員軍人

アメリカ人としてなしうる最低の犯罪、つまり、自分の赤ん坊を殺したとしてポリ公に捕まる。

 

ニューボルト・シモンズ

郡の公衆安全本部長

病気のコウモリから恐水病をうつされて亡くなった妻マーサに敬意を表して特別救急車にマーサ・シモンズ記念移動災害救助車と名付けられた。

 

エディ・キー

マーサと呼ばれる特別救急車の運転手

国歌を書いた白人のアメリカ愛国者フランシス・スコット・キーの直系の子孫

 

カシュドラール・ミアズマ

マーサと呼ばれる特別救急車に乗っている医師の一人。バングラデシュ出身。

 

エルジン・ワシントン

旧ホリデイ・インを根城に商売をしていたヒモ。

カシュドラール・ミアズマ医師によって片足を切断された。

 

リロイ・ジョイス

シェパーズタウン成人矯正施設に収容されている強姦罪で電気死刑を宣告された男

 

カザック(犬)

マリティーモ兄弟建設会社の資材置場を夜間パトロールしているドーベルマン

 

ベンジヤミン・デイヴィス

ドウェイン・フーバーのメイド、ロディ・デイヴィスの夫

ミッドランド・シティ交響楽団の第一トランペット

カザックの世話役

 

わたし

エブリシング・フェスティバルの人

小説家、キルゴア・トラウトの創造主

(この小説に登場するすべての人物および世界の創造主)

 

 

あれ、なんだか、見覚えのある人物がでてきませんでしたか?

エリオット・ローズウォーター!!

 きみがもしヒューマニストになりたければ、まずはこの小説を読んだら良い。

 

 

チャンピオンたちの朝食

チャンピオンたちの朝食

 

 

 

 「チャンピョンたちの朝食」を読んだ後は、この作品を読むと面白いぞ!なんたって、あのミッドランド・シティが舞台だからね。

人生にご用心! / 「デッドアイ・ディック」 - ブーフーとブールーのあいだ